「孫が家を建てるから、自分の持っている土地を相続させたい」、「孫の就職が決まったので、自分の投資用マンションを早めに相続させられないだろうか」とお考えの方がいらっしゃるかもしれません。

 今回は、土地(不動産)の相続を孫にさせたいときどうすればいいのかについてお話します。

 

1.土地(不動産)を孫に相続させる方法

 

 まず民法によると、相続人となれるのは被相続人の配偶者と子です。

 孫は子が非相続人より先に亡くなっていた場合に代襲相続人として相続することができるようになります。

 したがって、祖父母が土地(不動産)の相続を孫にさせたいと考えても、子どもが元気でいれば通常の形では相続させることはできません。

 

2.土地(不動産)の相続を子が放棄しても、孫は代襲相続できない

 

 それでは、子が自分の相続を放棄してその相続分を孫に相続させたいといったらどうなるでしょうか。

 民法には、「相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。」とされています。

 これは子が先に亡くなった場合と同じだから、子が相続放棄をすれば孫に相続させることができるのではないかとも思えますが、子の相続放棄は孫への代襲相続の対象となっていませんので、子が相続放棄しても孫は代襲相続することはできません。

 

3.土地(不動産)を孫に相続をする方法は養子縁組

 

 それではどうすれば孫に自分の土地を相続させることができるのでしょうか。

 その方法は、孫を被相続人(祖父や祖母)の養子とすることです。

 民法では、「養子と養親及びその血族との間においては、養子縁組の日から、血族間におけるのと同一の親族関係を生ずる。」とされていて、孫を養子にすれば配偶者や子と同じ相続人となることができます。これは孫を複数人養子にしても同じです。

 「それなら孫を何人か養子にすれば、相続税がかからないようにできるのではないか」とお考えの方がいらっしゃるかもしれませんが、相続税の計算上は相続人に加算される養子の数は、被相続人に実の子供がいる場合は1人まで、被相続人に実の子供がいない場合は2人までと限度がありますのでご注意ください。

 

4.土地(不動産)を孫に相続するのと実質的に同じような効果を生む方法

 

 養子にするのではなく、他になにか孫に土地(不動産)を相続するのと実質的に同じような効果を生む方法はないのでしょうか。

 

  土地(不動産)を孫に貸す

 まず考えられるのが、例えば孫が家を建てる際に祖父母が敷地を無償で貸すことです。

 無償で貸した場合は「使用貸借」となり、贈与とはみなされません。

 当面祖父母が孫に土地を無償で貸し、その土地が相続を重ねて最終的に孫に相続されるようにすればいいことになります。

 ただし、祖父母から孫へ市価より安く土地を売ったり、安い賃料で貸したりする場合は贈与とみなされる可能性がありますのでご注意ください。

 

  遺贈による方法

 民法では、「遺言者は、包括又は特定の名義で、その財産の全部又は一部を処分することができる。」とされていて、遺言で特定の土地(不動産)を特定の孫に遺贈することができます。土地を孫に譲るという点では、相続と同様の効果を生むことができます。

 

  相続時精算課税の制度

 平成27年1月祖父母から孫への贈与も対象となった「相続時精算課税の制度」をご紹介します。

 相続時精算課税の制度とは、「原則として60歳以上の父母又は祖父母から、20歳以上の子又は孫に対し、財産を贈与した場合において選択できる贈与税の制度です。」

 贈与財産の価額の合計額が2,500万円以内の場合、贈与税がかからなくなり、2,500万円を超えても一律20%の税率で済みます。

 また、これは相続時に精算されることから、この制度を利用すれば実質的に特定の不動産を孫に相続させたと同じ効果を生みます。

 

5.土地(不動産)を孫に相続させるときは相続登記の変更を行う

 

 次に、相続によりその土地(不動産)を孫のものとして他人に対抗するためには所有権の名義変更登記を行うことが必要です。

 まず、登記申請書の作成です。

 登記の目的、原因、権利者、義務者、課税価額、登録免許税、不動産の表示といった項目を記載する必要があります。

 添付情報として登記識別情報(又は登記済証)、登記原因証明情報(受贈者)、代理権限証明情報、印鑑証明書、住所証明情報等が必要となります。

 

6.土地(不動産)の相続を孫にするときに発生する税金

 

 土地(不動産)を相続する場合は、相続により取得する財産の価額から基礎控除額を差し引いた課税遺産総額に応じて相続税を納める必要があります。

 

 養子にした孫が払う相続税額は、「財産を取得した人が被相続人の配偶者、父母、子供以外の者である場合、税額控除を差し引く前の相続税額にその20%相当額を加算した後、税額控除額を差し引きます。」となっていますので、法定相続人が払う相続税より税率が高くなりますのでご注意ください。なお、代襲相続の場合は加算の必要はありません。

 また、通常土地の売買には不動産取得税が3%課せられますが、相続の場合は課税されません。

 登録免許税額は必要です。相続の場合は0.4%です。

 

7.土地(不動産)を孫に相続させるときの節税対策

 

 相続税の一般的な計算は、各人の課税価額の計算、相続税の総額の計算、各人ごとの相続税額の計算、各人の納付税額の計算の順に行われます

 相続税は、課税価額の合計額から基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を差し引いて課税される遺産の総額を計算しますので、相続税を節税するためには、相続人を増やすか課税価額を減額すると相続税を節税できることになります。

 相続税の計算上は相続人に加算される養子の数は、被相続人に実の子供がいる場合は1人まで、被相続人に実の子供がいない場合は2人までということは先に述べました。

 直接孫に相続させるときの対策にはなりませんが、孫を養子にすれば相続税総額の節税にはなります。

 

8.土地(不動産)を孫に相続させるときの節税対策の具体例

 

 土地(不動産)を孫に相続させるときには「小規模宅地等の特例」が大きな節税方法になります。

 「小規模宅地等の特例」は、亡くなった被相続人所有の家屋をそこで一緒に暮らしていた配偶者や孫等の親族等が相続する場合など、土地の課税価額が減額される制度です。

 対象は、「被相続人等の事業の用に供されていた宅地等」及び「被相続人等の居住の用に供されていた宅地等」です。

 このうち一定の要件に該当する土地について、限度面積までの部分について相続税の課税価額が50%から最大80%減額されます。(詳しくは国税庁のホームページを御覧ください。)

http://www.mlit.go.jp/

 また、課税価額を減額するためには、更地を所有している場合、賃貸マンションなどの建物を立てる方法も有効です。

 貸家が建てられている土地の評価額は、借地権及び借家権の割合で評価が下がることにより、更地で所有しているよりも課税価額が下がります。

9.土地(不動産)を孫に相続させるときの注意点

 

 相続でのトラブルをみなさんよく耳にされると思います。兄弟姉妹で遺産をめぐって争う事例が多くあります。

 そのような中、子どもを飛ばして孫に相続させるのですから、孫の親である子どもたちとのコミュニケーションをより以上緊密にして、相続が円滑に進むよう心がけましょう。

 

10.まとめ

 

 土地(不動産)の相続を孫にさせたいときどうすればいいのかについてお話してきました。

 自分の持っている土地を孫に相続したり相続と同様の効果を持つ方法としては、養子縁組、使用貸借、遺贈、相続時精算課税などがあります。

 みなさんそれぞれの事情があり、家族構成や子どもたち・孫たちとの距離感もさまざまですので、一概にどの方法をとったほうがいいとは言えません。

 孫に不動産を相続させる場合、いろいろな角度から検討し家族が納得してもらえるような方法を選んでください。