1.土地や家を相続する方法とは

両親はまだ元気だけど、いつの日か相続しなければならない。今両親が住んでいる家や貸している駐車場を相続するとき、どのような手続が必要なんだろうとお考えの方がいらっしゃると思います。

今回は土地や家を相続したときの手続きについてのお話です。

 

  1-1.土地や家を相続するときは、遺産分割協議を行う

相続財産について誰がどの財産を相続するかについて決める際、一般的には次のような流れになります。

1 遺言書の確認
まずは遺言書があるかどうか確認します。遺言書には、「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類があります。
この中で「自筆証書遺言」については、必要な事項が書かれていなかったり書き間違えがあったりして遺言書として無効であったり裁判で無効とされたりする事例も多いので注意が必要です。
遺言書が有効で具体的に相続財産について決められていれば遺産分割協議は必要ありません。

自筆、つまり手書きの遺言書の場合、家庭裁判所で検認手続きが必要となり、その際、全ての相続人に通知がいくことになることも注意が必要です。

 

2 相続財産の確認

次に相続財産を確認します。相続財産には現金、土地、生命保険などのプラスの財産と借入金等のマイナスの財産があります。

 

また、マイナスの財産が明らかにプラスの財産よりも多い場合、相続放棄の検討も必要です。相続放棄は、相続があったことを知ってから3ヶ月以内と期限が短いため注意が必要です。

 

3 相続人の確定

相続人の確定も重要です。子どもも知らない両親の過去があることも珍しくはありません。

戸籍謄本、除票等で確認します。

 

4 遺産分割協議を行う

遺言がなかったり、一部の相続財産しか遺言で指定されていない場合には、相続人全員で被相続人の遺産の分割方法について、協議をして決めることが必要です。

土地や家を相続するにあたっては、誰がどの土地・家を相続するのか、1人で相続するか複数人で相続するかなど、具体的に決めることが必要です。

 

5 遺産分割協議書の作成

分割協議が整ったら、その内容を遺産分割協議書として書面にします。遺産分割協議書は不動産を相続して所有権移転登記を行ったり、預金を相続する場合等に必要になります。

 

6 まとまらなかったら調停(審判)も

円滑に分割協議が整えばいいのですが、いろいろな事情でどうしても全員の意見が一致しないことが少なくありません。その際は遺産分割調停・審判の手続きになることもあります。

  1-2.土地や家を相続するときは遺産分割協議書の作成を行う

遺産分割協議書に記載する項目の主なものは次のとおりです。

 

1 被相続人の氏名

2 死亡日

3 本籍地

4 合意した旨の記載

(平成○年○月○日、被相続人○○○○の死亡によって開始した遺産相続を、○○○○の相続人全員で遺産分割協議を行った結果、下記のとおりに遺産を分配、取得することに合意したことを認める。)

5 分配、取得の内容

(不動産の場合・相続者・所在地、地番・家屋番号・種類・構造・床面積 等)

6 相続者全員の署名及び実印の押印

 

相続人の数の遺産分割協議書を作成し、相続人それぞれが保有します。

また、将来の争いを避けるため、遺産分割協議書を公正証書にすることも一つの方法です。

  1-3.土地や家の分割方法

土地や家の分割方法には、現物分割、代償分割、共有、換価分割の4種類が代表的です。

 

現物分割は、例えば土地が3筆ABCあった場合、Aの土地は妻に、Bの土地は長女にとその現物を相続させる方法です。

土地が広い場合など、土地を分筆して分筆後の土地をそれぞれの相続人が相続することも可能です。

 

代償分割は、例えば被相続人が住んでいた住宅を相続人の1人が土地を相続する際、他の相続人は住宅を相続した人から不動産に代えて相応の金銭を取得する方法によるものです。

 

共有は、土地を相続人共同で取得する方法によるものです。

共有で相続する場合、土地の管理・処分をめぐってトラブルになりやすいので注意が必要です。

 

換価分割は、土地を売却し売却代金を相続人で分ける方法によるものです。

換価分割については、不動産譲渡所得税について注意が必要です。

 

  1-4.土地や家を相続するときは相続登記を行う

相続によりその土地(不動産)を他人に対抗するためには所有権の名義変更登記を行うことが必要です。
法律上、所有権自体は、登記をしなくても取得することはできますが、相続した財産を守り有効活用するためにも、必ず相続登記をするようにしましょう。

 

  1-5.相続登記により家や土地の名義を変更するときにかかる費用

相続登記により土地の名義変更をするのにかかる費用として、法務局への申請時にかかる登録免許税、調査費用、書類の取得費用、司法書士への報酬などが必要です。

 

登録免許税は、土地を建物を固定資産税評価額で計算し、1,000円未満を切り捨て課税標準価額を決定します。

次に、課税標準価額に税率(1000分の4)をかけて計算された額から100円未満を切り捨て登録免許税額を決定します。ただし、計算した額が1,000円未満であった場合には1,000円となります。

その他、調査費用が約3000円、書類の取得費用が1~3万円、司法書士への報酬約5~10万円が目安ですので、参考にしてください。

 

  1-6.相続登記により家や土地の名義を変更するときに必要な書類

相続による不動産の所有権移転登記に必要な書類は次のとおりです。

 

まず、登記申請書です。
登記の目的、原因、申請人、被相続人、課税価額、登録免許税、不動産の表示といった項目を記載する必要があります。

 

添付情報としては次のものが必要です。

・被相続人の住民票の除票(本籍の記載があり、かつ登記簿上の住所と繋がるもの)
・被相続人の死亡時から出生時までの戸籍謄本一式
・相続人全員の現在の戸籍謄本
・遺産分割協議書もしくは遺言
・相続人全員の印鑑証明書
・物件を取得する相続人の住民票
・対象物件の固定資産評価証明書
・手続きを司法書士や弁護士などの代理人に委任する場合には、委任状

 ※遺言がある場合は多少必要書類が減ります。

 

2.相続登記をしなかった場合

相続登記をしなくても、土地の所有権自体は相続人が取得することができますが、相続登記をしなかった場合、どのようなデメリットがあるのでしょうか。

 

不動産の売買は必ず所有権移転登記を伴います。相続した不動産を売買しようと思えば、必ず事前の相続登記が必要です。所有権移転登記ができない不動産を購入する人はまずいません。

 

また、相続登記をせずに相続した人が亡くなった場合には、登記簿に記載されている所有者からの相続になりますので、相続関係者が増加したり複雑化したりします。

相続した不動産の売却が決まりいざ登記をしようとしても、それまで音信のなかった親族などの承諾と印鑑が集まらず、なかなか登記ができない事態を生むことがよくあります。

 

不動産を相続した場合、出来るだけ早く相続登記をするようにしましょう。

 

3.相続した家や土地を売却する方法

不動産を売却する際は、不動産業者に仲介してもらうのが一番スムーズに売る方法となります。登録済証(権利証)や測量図、固定資産税納税通知書などの必要書類を準備しておきましょう。


まず、不動産会社に売却する物件の査定を依頼します。
複数の会社に依頼し、比較検討を行ったほうがいいでしょう。
信頼できる業者か、価格は妥当かなどを総合的に検討し、お願いする業者を決めたら、売買の仲介を正式に依頼する媒介契約を結びます。

 

不動産会社は、売手と相談しながら、会社の査定価格や周辺の事例等を踏まえて、売値を決め売り出します。購入希望者がすぐ見つかる場合もありますが時間がかかる場合もあります。

 

買い手が見つかり、売買条件を合意したら売買契約を結びます。
一般的には契約書を交わす際、物件価格の10~20%程度の手付金が支払われます。

 

そして最終段階が残金決済、所有権移転等の登記申請、引渡しとなります。

 

4.まとめ

今回は、相続の流れ、遺産分割協議、土地や家の分割方法、相続登記、相続した家や土地を売却する方法など基本的な事項についてお話してきました。

 

平成27年から相続税の基礎控除額が3,000万円+相続人の数×600万円と減額されたことから相続税を課せられる方が大幅に増えてきました。相続税申告は、相続から10ヶ月以内に行わなければならず時間が限られており、節税のための特例も各種あることから、専門的な知識も必要となります。

 

相続にはさまざまなトラブルをよく耳にします。

円滑な相続をするため、遺産分割協議、不動産の相続・登記、相続税の申告などについて専門家の力を借りることも検討してみてはいかがでしょうか。

 

投稿者: 坂本武蔵

長崎県五島列島出身。大学中退後、様々な職種を経験する中、専門知識を活かして1対1でお客様の役に立つことができる士業に魅力を感じ、司法書士の資格を取得しました。資格取得後は3年半他事務所で修行し独立。3人いた司法書士の会社登記を一手に担当。現在は不動産及び会社の登記が主な業務となっております。経営理念に沿って、利用しやすい法的サービスの提供を心掛けています。