1.家(不動産)を、遺産相続するときの登記変更手続きの仕方

遺産に家などの不動産が含まれる場合、遺産分割協議や遺言によって相続人に指名された人が、新たにその家の所有者となります。

相続人が確定した時点でその不動産の所有権は移転しているのが法律上の扱いですが、通常はさらにその権利保護を確実にするために、不動産登記の名義を変更する手続きを行うのが一般的です。

具体的には、相続登記を行っていないと、他の相続人に相続人全員での共有名義で登記されてしまったり、売却しようと考えていても手続きが進まなかったりします。


不動産登記名義の変更は、法務局に次のような書類を提出して行います。

・亡くなった人の戸籍謄本(生まれてから亡くなるまで)
・亡くなった人の住民票の除票(登記簿上の住所と本籍地がつながるもの)
・法律上の相続人となる人全員の現在戸籍謄本
・遺産相続の根拠となるもの(遺産分割協議書や遺言書)
・実際に不動産を相続する人の住民票又は戸籍の付票
・相続物件の固定資産評価証明書(最新のもの)

上の「遺産相続の根拠となるもの」というのは、亡くなった人が残した遺言書や、相続人全員で作成した遺産分割協議書です。

遺言書が手書きで書かれている場合、家庭裁判所の検認手続きを受けていることが必要で、もし検認を受けていない状態の遺言書を法務局に提出しても、登記の手続きは認められません。これに対して、公正証書で作成されている場合は、上記検認手続きは不要です。

これらがどちらもない場合(遺産分割協議がうまくまとまらなかったので、共有名義にするような場合)は法定相続分による全員の共有の相続登記を行うこともあります。

 

  1-1.家(不動産)を、生前贈与での登記変更手続きの仕方

相続が発生する以前に、贈与によって財産を渡すことを生前贈与といいます。

生前贈与によって取得した不動産の登記名義を変更する場合には、贈与を原因とする所有権移転登記の形で登記名義変更を行います。

法務局に提出する必要書類としては以下のようなものがあります。

・贈与の契約書
・譲渡を行う人の登記済証(又は登記識別情報)
・譲渡を行う人の印鑑証明書
・贈与を受ける人の住民票
・贈与する物件の固定資産評価証明書(最新のもの)

・登記原因証明情報

なお、贈与の場合の所有権移転登記は、名義変更を行う物件所在地を管轄する法務局で行います。

生前贈与は相続税対策として利用されることの多い方法です。他には、相続人間のトラブル予防に利用されることもあります。

20年以上婚姻関係にある配偶者への居住用不動産の購入資金の贈与や、60歳以上の親から20歳以上の子への贈与、子や孫への教育資金の贈与など、利用できる節税対策の方法があるので、税理士などにアドバイスを受けながら活用してみると良いでしょう。

 

  1-2.家(不動産)を、財産分与での登記変更手続きの仕方

配偶者との離婚にともない、財産の所有権を妻や夫に対して譲り渡すことを財産分与といいます。

財産分与によって不動産を譲り渡した後には、法務局で財産分与に基づく所有権移転登記を行う必要があります(登記はしなくても所有権は移転しますが、権利保持を確実にするために登記を行います)

財産分与による所有権移転登記は、協議離婚によって財産分与が行われた場合には両者が協力して手続きを行わなくてはなりません。

一方で、家庭裁判所の調停などによって行われた離婚(調停離婚)の場合には新たに権利者となる人が単独で手続きを行うことが可能なことがほとんどです。

財産分与による所有権移転登記を行う際には、次のような書類が必要となります。

・財産分与を受ける人の住民票
・物件の登記済権利証(登記識別情報)
・財産分与を行う人の印鑑証明書(発行から3か月以内)
・物件の固定資産評価証明書(最新分)
・離婚後の戸籍謄本
・登記原因証明情報

・財産分与があったことを証する書面等

 

  1-3.家(不動産)を不動産売買での登記変更手続きの仕方

不動産を売買によって取得した場合には、新しい所有権者となる人は取得した不動産の登記名義変更を行う必要があります。

登記名義変更を行わなかったとしても、契約書があれば売買の当事者に対して自分の権利を主張することは可能ですが、契約の当事者以外の人に対して自分の所有権を証明するためには登記が必要となるためです。

売買契約に基づく登記名義変更を行う際に必要な書類は次のようなものです。

・物件の登記済証や登記識別情報
・物件を売却する人の印鑑証明書(発行から3か月以内)
・物件を購入する人の住民票
・固定資産評価証明書(最新の年度のもの)
・登記原因証明情報

・売買契約書

 

2.家(不動産)の登記変更の手続きを自分で行う方法

売買などによって登記変更の手続きを行う際には、売主側と買主側が協力し合って登記手続きを行う必要があります。

一般的に登記変更手続きを自分で行うのは信頼関係のある親族同士での売買などに限られるでしょう。

一方で、赤の他人同士の場合には「登記変更手続きを自分で行う」ということは普通はありません。

通常は不動産業者及び司法書士などの専門家に間に入ってもらい、必要書類を預けて手続きの代行を依頼します。

売買契約書や贈与契約書などの重要な書類についても専門家に書式を準備してもらって行うのが一般的で、その手続きの流れの中で登記についてもお願いする、というケースが圧倒的に多いでしょう。

 

3.家(不動産)の登記変更の手続きを自分でする時の費用

登記変更の手続きを自分で行う場合にも、法務局に対して納める税金が発生します。

具体的には、次のような費用が必要です。

登録免許税:物件の固定資産税評価額×税率(登記原因によって異なります)
その他実費:戸籍謄本や住民票の取得、法務局に行くための旅費などです

登記を行うための費用としてもっとも大きいのが登録免許税ですが、登録免許税の税率はどのような原因によって登記を行うのかによって異なります。

平成30年現在、それぞれの登記原因による税率は以下のようになっています。

・売買:建物は1000分の20、土地は1000分の15(平成31年3月31日まで)

 ※但し住宅用家屋証明書がある場合は、軽減措置があります。
・相続:1000分の4
・贈与:1000分の20

例えば、3000万円の建物を売買した場合に行う登記の登録免許税は、3000万円×1000分の20=60万円となります。

 

4.家(不動産)の登記変更手続きを司法書士に依頼する場合のメリットデメリット

不動産の登記変更手続きは、司法書士に依頼して行うのが一般的です(法律の専門家としてはほかにも弁護士や行政書士がいますが、登記については司法書士が専門です)

司法書士に登記変更手続きを依頼するメリットとしては、面倒な手続きの労力的負担をすべて専門家に安心して任せることができる点です。

登記変更手続きを行うためには必要書類の準備から、登記申請書の作成、法務局担当者とのやりとりなど(書類不備があれば都度法務局に行く必要があります)が必要になりますので、これらの負担をすべて専門家に任せられるのは大きなメリットといえるでしょう。

一方で、司法書士に依頼した場合のデメリットとしては、専門家に対して支払う費用が発生することです。

司法書士に登記変更手続きを依頼した時の費用相場については次の項目で説明します。

 

5.家(不動産)の登記変更手続きを司法書士に依頼するときの費用

平成15年以前は司法書士の費用は一律で決まっていましたが、それ以降はそれぞれの司法書士が自由に報酬額を決められるようになっています。

そのため、どの司法書士にどのような手続きを依頼するかによってかかる費用は変わってくるのですが、登記手続きの代行を依頼した場合のおおよその費用相場は5~10万円程度です。

ただし、遺産分割協議書の作成や売買契約書の作成、贈与契約書の作成も依頼したような場合には、上記費用に加算されることもあります。

 

6.まとめ

今回は、家の登記変更手続きを行う際の手続き方法について、登記を行う原因別に解説しました。

登記は不動産に関する権利を守るためにとても大切な手続きですから、司法書士などの専門家にアドバイスを受けながら進める事も検討してみてください。

投稿者: 坂本武蔵

長崎県五島列島出身。大学中退後、様々な職種を経験する中、専門知識を活かして1対1でお客様の役に立つことができる士業に魅力を感じ、司法書士の資格を取得しました。資格取得後は3年半他事務所で修行し独立。3人いた司法書士の会社登記を一手に担当。現在は不動産及び会社の登記が主な業務となっております。経営理念に沿って、利用しやすい法的サービスの提供を心掛けています。