1.マンションを相続する手続方法とは?

マンションを相続したら、まず名義変更の手続が必要です。
名義変更は法務局に相続登記申請書、戸籍謄本、住民票などの必要書類を提出し、登録免許税を納付して行います。
名義変更は自分で行うこともできます。しかし、名義変更の書類は非常に細かいところまでチェックされるため、修正のために何度も法務局に行ったり、書類を取り直すなど、手間がかかることがあります。そこで、専門家である司法書士に手続を代理で行ってもらうよう依頼することもできます。
名義変更は必ずしなければいけないわけではありませんし、期限も設けられていません。しかし、名義変更をしないとマンションを処分したり、マンションの所有権を担保に借り入れをしたりすることができません。費用がかかることもあり名義変更は先延ばしにしがちですが、相続後なるべく早く名義変更の手続をしましょう。

 

2.マンションを相続するときに発生する税金とは?

続いて、マンションを相続するときに発生する税金について解説します。

 

  2-1.不動産取得税

形式的には不動産を取得することになりますが、不動産取得税はかかりません。

  2-2.登録免許税

名義変更に伴って発生する税金です。売買による移転登記が固定資産税評価額の2%であることに対して、相続による場合は固定資産税評価額の0.4%と低くなっています。

 

  2-3.相続税

相続税は、亡くなった方の相続財産のすべての合計額から基礎控除額を引いた残額に課せられますので、マンションの相続税評価額と他の相続財産の合計額が基礎控除額を超えてしまうと、相続税が発生します。相続税の基礎控除額は次の計算式で求められます。
3000万円+600万円×法定相続人の数

相続を受けた人が配偶者の場合には、配偶者控除の対象となります。配偶者は亡くなった方の財産形成に大きく貢献していることや、亡くなった方と同世代の場合が多く、相続から何年も経たないうちにその配偶者が亡くなり、また相続が発生することになると短期間で同じ不動産に二重で課税することになるため、特別な控除額が適用されます。
配偶者控除額の計算式は次のとおりです。

 

配偶者控除額=相続税の税額×(次のABのいずれか少ない金額÷課税価格の合計)
A: 配偶者の法定相続分(法定相続分が1億6,000万円未満なら1億6,000万円)
B: 配偶者の課税価格(配偶者が相続する財産分)
つまり、配偶者の課税価格が1億6,000万円までであるか、法定相続分以内であれば相続税はかかりませんので目先の相続税額が大きくなるのが嫌だ、という場合には配偶者に相続させるとよいでしょう。

なお、マンションを生前贈与することを考える方もいらっしゃるかもしれません。

不動産に限らず、相続税を抑えるために、生前贈与が使われることがあります。亡くなる前に贈与をしておくと相続財産が減少しますので、相続税を減らすことができます。
ただし、贈与税の基礎控除額(年110万円)を利用するとなると、マンションの場合は持分を贈与していく形になります。登記も必要になる他、継続的に贈与していくことになるので、そもそもすべてを譲渡していたとして遡って贈与税が課される可能性もあり、お勧めできません。4-2に後述する相続税精算課税やローンが残っていれば負担付贈与とし、返済金額を現金で贈与するなどの対策が有効でしょう。ただし、負担付贈与の場合は、贈与であるにも関わらず、相続税評価額ではなく、取引時の時価で評価とされますのでご注意ください。

 

3.マンションの評価額の計算方法

 

  3-1.土地の評価方法

マンションの評価額は土地と建物に分けて計算します。
土地の評価額を求めるときは、まずマンション全体の土地の相続税評価額を求めます。計算式はマンションが市街地にあるか郊外にあるかによって計算式が異なります。
マンションが市街地にある場合には、「路線価方式」で評価額を計算します。計算式は以下のとおりです。
マンション全体の土地の相続税評価額=路線価×地積×画地補正率
マンションが郊外にある場合には、路線価がないため、「倍率方式」で計算します。計算式は以下のとおりです。
マンション全体の土地の相続税評価額=固定資産税評価額×倍率
こうして求められたマンション全体の土地の相続税評価額に、持分割合をかけてマンション各戸の土地の相続税評価額を計算します。
マンション各戸の土地の相続税評価額=全体の相続税評価額×持分割合

 

  3-2.建物の評価方法

マンションの建物の相続税評価額は固定資産税評価額と同じになります。固定資産税評価額の確認方法には2つあります。
一つは課税証明書を見ることです。マンションなど固定資産の所有者には、毎年「固定資産税・土地計画税課税証明書」という明細書が送付されます。この課税証明書に建物の固定資産税評価額が記載されています。
もう一つの方法は、役所で固定資産評価証明書を取得することです。相続による名義変更手続を行うためにはこの固定資産評価証明書を法務局に提出しなければいけませんので、早めに取得しておくとよいでしょう。

 

4.マンションを相続する時の節税対策

 

  4-1.配偶者控除を利用して節税対策

マンションを相続するときに相続税をできるだけ安くするためにはいくつかの方法があります。
一つは、すでに説明した配偶者控除を利用することです。

さらに小規模宅地等の特例(自宅であれば8割、投資用であれば5割の土地評価減)も利用できます。マンションがご自宅であれば、配偶者が取得する場合は、無条件で8割の評価減を受けられますし、投資用であっても賃貸を継続すれば5割の評価減が受けられますので、配偶者控除と合わせて利用することで大きな節税効果を生みます。

ただし、そのほかにも不動産があった場合、配偶者控除の適用がない相続人が小規模宅地等の特例を利用したほうが、相続税が低くなる可能性もありますので、ご注意ください。

 

  4-2.相続時精算課税制度を利用して節税対策

マンションの価額が2.500万円以下の場合には、相続時精算課税制度を使うこともできます。相続時精算課税制度とは、60歳以上の親または祖父母から、20歳以上の子どもや孫に対する贈与のうち、2500万円までを非課税をする制度です。ただし、2.500万円を超える場合は一律で20%の贈与税が課されます。

なお、相続が発生した時に、相続財産に加算されますのでご注意ください。その名の通り、相続時に精算するという意味合いなので、税金が全く課されないというわけではありませんが、相続税率は贈与税率より低いため、次世代に早く資産を移して有効活用したいという方には節税対策としても有効です。ただし、相続税の計算時に小規模宅地等の特例の対象から外れてしまいますので、注意が必要です。一旦、相続時精算課税を選択すると同じ贈与者からの贈与は、暦年贈与を適用できない(基礎控除の110万円を利用できない)ことにも注意してください。

 

5.まとめ

マンションを相続すると相続税がかかりますが、相続税をできるだけ抑えるために様々な方法や利用できる制度があります。どの方法や制度を利用すると節税効果が高いかはケースバイケースです。マンションを相続するときの相続税を節税したいときには、税理士、司法書士などの専門家と相談することをお勧めします。

投稿者: 安川隆浩

1982年富山生まれ。 特別目的会社(SPC)を専門に扱う会計事務所で匿名組合や投資事業組合といった ファンド系の会計税務を経験。 その後、方針転換し、不動産会社の経理を経て中小企業向けの税理士法人に勤務。 2017年1月に独立開業し、 個人・法人に係る決算業務の他、相続に関する 相談・申告を承っています。