老後破産という言葉がメディアを中心に、よく見聞きされるようになりました。一説によると、4割が老後破産状態にあると言われています。(http://biz-journal.jp/2015/02/post_9053.html)では、このような現実を踏まえ、一体、どのような対策をとっておくべきなのか?弁護士の音羽宏昭先生に聞いてきました。

1.老後破産に陥らないための対策とは?

1-1 老後に破産をしないためには?【貯蓄をすること】

現代において、老後に必要な生活資金は、1人当たり3000万円になるともいわれています。貯蓄が無い場合、生活費の不足、突然の出費(ケガ、病気など)に対応できず、借金に頼らざるを得ないケースが見受けられます。

1-2 老後に破産をしないためには?【生活水準を下げること】

老後においては、収入が減少するケースがほとんどです。しかし、破産をする方の中には、収入が減少してもそれまでの生活水準を下げられず、次第に貯蓄等を減らしていってしまう方が見受けられます。

1-3老後に破産をしないためには?【住宅ローンの返済を急ぐこと】

住宅ローンは、少なくとも毎月数万~数十万の負担となることから、家計において大きなウェイトを占める支出です。老後においてこのような支出を続けていかなければならない状況にあると、収入が一時的に途絶えたりケガ、病気による突然の出費があった場合に、家計が破たんするリスクがあります。

1-4老後に破産をしないためには?【資産形成を行い年金と退職金頼みにしない】

少子高齢化社会において、年金については受給年齢の引き上げ、支給額の引き下げが予想されることから、将来の生活資金としては非常に不安が多いといえます。また、退職金については、勤めていた会社が倒産したり、何らかの理由で支給されない可能性もあります。資産形成の為には、生命保険、不動産、株式など様々なものが考えれますが、リスク回避のためには、確実性の高い資産形成を考えることが重要です。

1-5老後に破産をしないためには?【生活設計を綿密に行い老後の費用を見積る】

老後に破産をしないためには、借金に頼らないことが重要であり、そのためには、収入の減少や不測の事態に備え、あらかじめ、必要な生活資金を見積もり、確実性の高い資産形成を行っていくことが重要といえるでしょう。

 

2.老後に破産をしてしまう現実

2-1 老後に破産をする現実は病気や雇用条件による給与所得の低下が原因

老後になって債務が高額化し破産をする方の多くは、給与所得が低下したにもかかわらず、十分な資産を形成できておらず、生活水準を下げられなかったり、キャッシングやクレジットカードでの購入に頼ってしまう傾向があるように見受けられます。

2-2老後に破産をする現実は住宅ローンの返済が完了していないこと

老後に住宅ローンの返済が完了していない場合、ローンを契約した当初に考えていた給与所得水準を維持できず、返済が滞り、生活費等をキャッシングで補うようになることがあります。

2-3 老後に破産をする現実は生活設計の見積もりを立てていない

老後破産に至る方は、老後を見越した生活設計をしていなかったり、不測の事態を考慮した生活設計をしていない場合が多いと考えられます。
介護費用等を含めた老後に必要な生活資金、ケガや大病への備えを含め、余裕をもって生活ができるような生活設計をしておかなければ、何か不測の事態が起こったときに、借金に頼らざるを得ず、破産に至る可能性があります。

3.老後に破産するしかない現実に直面したときの対策

債務が高額化し、返済が困難となってしまった場合、裁判所で破産手続きの申し立てを 行い「免責決定」を受けることによって返済を免れることができます。法テラスという機 関を活用し、民事法律扶助契約を結ぶことによって、弁護士費用の立替えを受けることも 可能です(立替えられた弁護士費用は、原則として後々返済する必要があります)。
ただし、破産申立ての直前に一部の債権者にのみ弁済を行ったり、支払いができないことを知りつつ借り入れを行ってしまうと「免責決定」をうけることができない場合もあります。
債務の返済が困難となった場合には、まずは弁護士会が運営する法律相談センターや法 テラスにて、弁護士に相談をし、適切な対処方法を知ることが重要です。

4.生活福祉資金貸付制度の利用をして、老後の破産対策を行う

様々な理由により経済的に困窮した方に向けて、一定の資金を貸し付ける「生活福祉資  金貸付制度」という制度が存在しています。貸し付け対象は、65歳以上の高齢者の属 する世帯、その他低所得者世帯、障害者世帯となっています。資金には様々な種類があり ますが、基本的な利息については、連帯保証人を立てる場合は無利子、連帯保証人を立て ない場合は年1.5%です。
65歳以上の高齢者の属する世帯では、生活資金等が不足したときに、民間の金融機関 から高額の利息で貸し付けを受けるより、無利息又は低利息の生活福祉資金を利用して生活資金を確保する方が、債務の高額化を回避しやすいと考えられます。

 

5.生活保護を申請して老後の破産対策を行う

収入が不足し、生活に困窮している場合は、生活保護を申請し、国から生活保護費を受給することが可能です。
生活保護は、多重債務に陥って破産をしなければならない状況であっても受給することが可能ですので、生活に困窮している場合には、例え借金があっても、迷わずに受給を検討してください。

投稿者: 音羽宏昭

個人及び法人の破産問題、離婚案件も多く取り扱いながら、IT,建設関係を中心に、幅広い分野の企業の顧問弁護士としても活動。売掛金回収、従業員との労働トラブル、事業承継問題を含め、中小企業が陥りがちなトラブルの予防・解決に尽力している。